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日欧EPA 大枠合意 TPP超 チーズ 数量、価格で打撃(追記あり)

      2017/07/12

EUとの自由貿易協定が大枠合意に達したその内容とは

EUとの自由貿易協定が大枠合意に達したその内容とは

 

大枠合意した日欧経済連携協定(EPA)で、日本は環太平洋連携協定(TPP)並みの自由化を受け入れた。農産物では82%程度の品目で関税を撤廃。チーズなどは、TPPを超える水準の市場開放を迫られる。農水省は「再生産が可能な国境措置が確保できた」とするが、本当に国内生産の維持・拡大はできるのか。丁寧な検証と、必要に応じた国内対策が欠かせない。(日本農業新聞 yahooニュース)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170708-00010000-agrinews-pol


 

日本とEUとの間で交渉が進められていたEPA(Economic Partnership Agreement)が大枠合意に達したという話題
EPAとはFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)より範囲が大きく、人の移動や投資、政府調達、二国間協力等を含めた貿易以外の分野も含める包括的な協定である
大枠合意というのは今後詳細が決まってくる分野もあるということだが、政治的なタイミングで日欧ともにこのタイミングで合意という一定の成果が欲しいという利害の一致があったのだろう
あれだけ大騒ぎしたTPPと同水準といわれる交渉結果となったが世間の関心はずいぶんと薄いようで、このあたりに疑問を感じる声もあるようだ
ニュースでは相変わらず某学園の話題が続いている

あまり世間の関心を引かなかったのはコメなどの重要作物が問題にならなかったことも要因だろう
政府は農水大臣の報道発表(PDF)で最初に「米について関税削減・撤廃等からの「除外」を確保した」と成果として語っているが、もともとEU圏でのコメの貿易に関する割合は1%しかない
EU圏内でも農産物の主要作物は穀物であり、小麦、大麦、トウモロコシなどの生産量はかなり多いのだが、その多くはEU圏内の国に輸出されている
現状では日本への直接の穀物輸入は少なく、加工製品としての輸入が多いため今回の交渉でも農産分野での交渉の内容は加工品の輸入関税が主な話題となっていた

今回の合意内容では輸入側ではチーズで大幅解放、ワインや豚肉、小麦加工品(パスタなど)でも関税撤廃の方針、逆に日本からの輸出では自動車関連商品と家電製品の関税撤廃が大きな要素だ
目玉とされるチーズ自体が酪農家以外からはむしろ解放してよいと思われている感もある
また、ワインに関しても輸入果汁で生産された国産ワインよりも本場のワインを飲みたいという層から歓迎する声もあるようだ

豚肉やパスタなどでも現行がそれほど高額な関税がかかっていたわけではないため、全面的な解放といえどそれほど影響は大きくないと政府も判断しているようで、むしろ農産物を輸出することにつなげたいという発言もみられる
ただ、これが単純にうまくいくとは考えないほうがよいだろう
衛生面を理由に禁止されている畜産物の日本からの輸出は解放されるどころか動物福祉の理由も付け加えられ拒否される見込みが高そうである
日欧EPA 豚肉輸出 解禁に壁 動物福祉、衛生面で難航(日本農業新聞)

また、ほかの農産物もEUの栽培基準、とりわけ農薬の残留基準値の違いから現在の日本で栽培している農産物やその加工品がそのまま輸出に対応できるという単純な話ではない
このあたりが非関税障壁的な働きをして諸外国との貿易をうまくこなしていたのがEUである
また今回農産物分野を大幅解放したことにより、米国をはじめとしたTPP関係国などもそれぞれの国内の農業分野の声を受け2国間FTAでの交渉圧力をより高めてくるものと思われる
今回の大枠合意を大きな成果とする政府だが、むしろこの後の舵取りが重要になることは間違いないだろう

(追記)
jacomで農協サイドから今回の大枠合意の内容について批判した記事があったので興味がある方は参考にしていただきたい
2017.07.11 日欧FTAを「TPPプラス」にした愚行 東京大学・鈴木宣弘教授(Jacom)

内容的にはチーズや豚肉の関税を大幅に開放したのはTPPの時に合意したレベル以上であり、米国やオーストラリアをはじめとした他の畜産国からの2国間協定でも同等以上の解放を迫られることになるだろうという指摘を「自由化ドミノ」「TPPゾンビ」という表現で表している


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EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシやサバなど青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸である

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