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滋賀の農作物獣害が大幅減 5年間で面積8割、金額6割

   

害獣フェンス

3年目にしてすでに藪に埋もれそうな害獣用フェンス(大分県宇佐市にて)

滋賀の農作物獣害が大幅減 5年間で面積8割、金額6割

滋賀県内でイノシシやシカなどの農作物被害が大幅に減少している。県のまとめでは、被害面積は2010年度から5年間で約8割減、被害金額も約6割減となった。侵入防止柵の設置や集落への対策呼び掛けが奏功したとみられ、県は「油断せずに対策を続けたい」としている。(京都新聞 yahooニュース)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161127-00000014-kyt-sctch


 

滋賀県で鳥獣害対策により農作物被害を大幅に減少させたという話題

10年度は被害面積1057ヘクタール、被害金額は約4億3900万円だったものが、様々な対策を進めた結果、昨年度は被害面積240ヘクタール、被害金額も約1億7100万円に減った
これは面積比で8割減、被害金額としても6割の減少という

被害の半分はイノシシであり、その他はシカとサルによる被害だったということである
全国の鳥獣害対策でよく使用される1.2~1.5mほどの金網フェンスではシカとサルはあまり防げないということだが滋賀県はどのようなタイプの柵を使用したのだろうか

いずれにせよ金網フェンスなどによる対策は、設置後間もないうちはかなり効果があることはわかっているのだが、問題はその効果をどのように維持していくかである
金属柵は電気柵などと比べると維持管理の手間は少ないのだが、それでも支柱や金属部の破損点検、柵周辺の刈り払いなど、最低限の維持管理が必要だ
何らかの理由により破損個所が発生すれば害獣はそこから侵入し放題となりうるからである
なにしろ集落全体を囲むように設置された柵ということは、逆に言えば誰も維持管理しない部分が多く存在するということにもつながる
農業者ならば自宅や園地周辺はきちんと管理するだろうが一部の人間だけで集落全体を管理するのは無理がある

もう一つ気になるのはその設置費用が莫大なものとなっている点である
鳥獣害対策業者のページから参考価格で1m当たり2000円程度の資材費(施工費は別途)となっているのを見ると、記事中の2000キロの柵を設置するとなると一体いくら必要になるのだろうか
ざっと計算しただけでも数十円億はかかっている試算になる
そしてそのほとんどは国や県の予算から出ているはずだ
3億円の被害を減らすために仮に30億かかるとすればその効果を10年は発揮してもらわねば割に合わないと批判されても仕方ない
そのためには記事中にあるようにただ柵を設置するだけでなく、集落全体での対策の呼びかけや知識向上などもセットで行っていく必要があるだろう
そしてこの柵の設置の国の予算も近年では大きく縮小されたと聞いている
日本全国をくまなく柵で覆うわけにもいかない
今後のためにも何とか害獣の生息数を減らすための手法の研究をしていく必要があるだろう(法規制の在り方も含めて)

余談だが日本の農業関連予算が莫大だと批判を受けることが多いわりに、逆に海外の農家は収入の半分は補助金でありその割合は日本の数倍だ、などと一見矛盾したことを言われることがあるのは、日本の農業予算と言われるものの多くがこのような農業資材業者や農業土木工事業者にとっての大きな事業であることも一因である


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