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東日本太平洋側で日照不足、低温 米地帯 いもち警戒

   

北海道、東北の太平洋側や関東を中心に、日照不足と低温が続いている。例年この時期にはないオホーツク海高気圧が出現し、冷たい風「やませ」が東北や関東に流れ込んでいるためだ。気象庁は、タイ米を輸入した1993年の米の不作時と比べ「それほどの冷夏ではない」と分析するが、東北などではいもち病が発生する危険性が高まっているとして、宮城県や福島県ではJAが対策本部を立ち上げた。8月下旬は平年並みに戻る見込みだが、今後の農作物への影響が懸念される。(yahooニュース 日本農業新聞)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170818-00010002-agrinews-soci


 

記録的な天候不順が続いており、今年のコメの生産が不作となる可能性があるという話題
関東以北では連日雨が観測され、東京でも8月22日に雨が観測されれば22日連続の降雨が観測されるという観測史上初の事態となるらしい
東京都心22日も雨観測すれば8月の最多タイ記録

ただしこれは東京のどこかで連日雨が観測されたということであり、天気予報の記録としては1mm以下の降雨では雨と記録されないため、8月の天気を振り返っても曇りが多かった程度の記録しか残らない可能性はある

東京の天気 これだけを見るとそれほど異常気象とは思えない

東京の天気
これだけを見るとそれほど異常気象とは思えない

 

一方東北地方は深刻である
特にやませの影響を強く受ける東北地方は降雨もだが、低温の被害が問題となる

福島の天気 30度を超えた日は少なく、逆に最高気温が22~23度という日も数日ある

福島の8月天気
30度を超えた日は少なく、逆に最高気温が22~23度という日もみられる

 

この他にも岩手などで8月中旬以降最高気温が25度を下回る日が連日続いている
低温、多湿が続くといもち病などの発生しやすい状況となることもあり、1993年の平成米騒動の起こった年の再来になるのではと心配する声もあるようだ

しかし今回はそこまでは深刻な状況にならないだろうと見られている
米騒動の起こった1993年当時に米の生産が大きく落ち込んだ地域では食味優先でササニシキが植えられていた
この品種は味はとてもよく、かつてはコシヒカリと並んで栽培面積は全国2位だったのだが耐寒性が悪く1993年の冷害で壊滅的な被害を受けてしまった
この年では全国的に生産量が落ち込んだように書かれている記事も多いが実際は東北の一部地域で極端に生産が落ち込んだだけで、東北と北海道を除いた地域での作況は平均すると87となっている(逆に東北と北海道だけでの平均の作況は51)

このことを経験として現在の東北地方ではササニシキは一般的には栽培されておらず耐寒性の高い品種に切り替わっている
このため歴史的な低温と日照不足とはいえそこまで極端な生産量の落ち込みはないだろう
さらに今年は関西~九州では平年より晴れの多い天気のため作況があまり落ち込むような要因もない
飼料米政策により一般食用米の需給が高止まり気味であるために米価は多少上がることが予想されるが、おそらく24年前のように海外から米を緊急輸入するようほどの緊迫した事態にはならないだろう


 

いまや幻の米となりつつあるササニシキ
平成28年度産なので発送は1~2か月先となっている(8月現在)
この低温と日照不足の影響をが心配である
ちゃんと発送されるのだろうか…

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