日清シスコ、残留農薬でシリアル回収=31.5万袋―健康に影響なし
伊藤忠商事が輸入したオーストラリア産大麦の残留農薬が食品衛生法の基準を超えていた問題で、日清シスコ(東京)は3日、この大麦を使用したシリアルを自主回収すると発表した。対象は2商品で、計31万5000袋に上る。食べても健康に影響はないが、万全を期すためという。(yahooニュース 時事通信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180403-00000098-jij-bus_all
輸入大麦から基準を超える農薬の残留が検出され、自主回収となったという話題
このあとほかの製品に使用されているシリアルにも今回の大麦が使われていることが分かり大規模な回収騒動に発展している
今回検出された農薬はアゾキシストロビンである
これはカビによる病気を防ぐ農薬として日本でも使用されている(商品名:アミスターなど)
適用も多く、いちごなどでは前日まで使用可能であり、適用もかなり多いことから比較的安全な部類の農薬と考えてよいだろ
参考:アミスター20適用表
なお平成25年より食品添加物として認められている(みかん以外の輸入柑橘のみ)
要するにこれは輸入柑橘の防カビ剤として収穫後に使用していいですよ、ということでもある
これまで輸入レモンなどではイマザリル、TBZといった物質が使われていたが最近は店頭でもアゾキシストロビンの表記が目に付くようになってきている
さて、大麦での残留基準値は0.5ppm以内、今回検出されたのが2.5ppmであるのでおよそ5倍の値が検出されていることになる
参考だが通常の輸入小麦での検出量は0.03ppm程度という話もあるので何らかの過失があったことは間違いないだろう
いつものように他の作物での基準値を考えるとイチゴやキャベツなどで3ppm、ブドウやレタスでは30ppmであることを考えると食べても影響はないという農水省の発表は確かに間違いとは言えない
わずかな量が付属するヨーグルト製品などを回収、廃棄することに異論を唱える論調の記事も多いがルールは徹底するべきだろう
伊藤忠商事の調査によると大麦の船積み前に現地の種子会社に委託してクリーニング(ふるいにかけるなどして葉やごみなどを除去しきれいにする)を行なったことが原因である可能性がある、としているということである(農水省プレスリリースより)
ということはこの時点でポストハーベスト処理としてアゾキシストロビンが散布され、使用法に何らかのミスがあったと考えるのが妥当であろう
オーストラリアや南米からの農産物の輸入の場合、赤道を通過する熱帯の海上を長期間通ってくるため防カビ、防虫のポストハーベスト処理は必ず必要になってくる
日本の基準値内の運用であれば全く異論はないが、この辺りのルールを厳格に運用することが消費者の信頼を獲得することにつながることは間違いないだろう
今回記事中に登場したアミスター