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アライグマの農作物被害深刻 三木市の捕獲は最多の1292頭 29年度

   

専用罠の仕掛けに手を伸ばすアライグマ

専用罠の仕掛けに手を伸ばすアライグマ

三木市で、農作物などを荒らす「特定外来生物」に指定されているアライグマの平成29年度の捕獲数が1292頭で過去最多になったことが分かった。捕獲地域は市内のほぼ全域にわたり、住宅街にも出没している。市は箱わなによる駆除を進めるが、繁殖力に追い付いていないのが実情だ。

市は28年度に鳥獣被害防止計画を改訂。31年度の捕獲目標を1250頭としていたが、すでに上回った。夜行性のため日中は人目に付かず、担当者は「市内にどれだけ生息しているのか実態がつかめない」と困惑する。

市はこれまでに約3千個の箱わなを購入。市民に無償で貸し出して駆除を続けている。市は「今年度も新たに購入する。繁殖に追いついていないが、地道にわなを仕掛けるしかない」と話している。(毎日新聞 yahooニュース)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180413-00000101-san-l28


 

各地で被害の広がるアライグマであるが、兵庫県三木市では年間1300頭近く捕獲されていたという話題

北アメリカ原産の外来種で、某アニメによってペットとして輸入されたが気性も荒く飼育が難しいことから野外に放出された経緯がある
身体能力も高く、繁殖力も旺盛なうえに有力な天敵もいないことから各地で増殖して被害が増加しているという

狩猟動物であると同時に特定外来種であるために被害があったからと言って個人が簡単に罠を仕掛けるわけにもいかない
以前当サイトでも小型箱わなの対象拡大 環境省、鳥獣管理指針見直しへ という記事で農業被害に関しては部分的に罠の設置が緩和されるという見込みであるということを話題にした

捕獲が難しいことに関して錯誤捕獲という問題がある
外来種のため外来生物法に基づく防除ということが適用されれば狩猟免許を保持しない者でも防除従事者になることができ、狩猟期間などにとらわれず捕獲することができるようになる

しかし対象がアライグマであるため、似たような捕獲機でタヌキやイタチ、ハクビシンなどが捕獲された場合解放しなければならないし、その間アライグマを捕獲する機会を損失することになる
また、罠の数が増えれば見回り等にかかる労力も多大なものになる

しかしこれに関して有用に思われる研究もなされている
アライグマ専用捕獲器開発 前脚が器用な特徴利用(毎日新聞)

これは前足を器用に使って餌をとるアライグマの性質を利用して、長さ30㎝の筒の中に罠の起動装置を設置した箱罠である
他の動物では餌に届かないため錯誤捕獲が起こらないという
埼玉県農業技術センターの報告によると罠訪問回数がアライグマ19回、ネコ57回、タヌキ45回の時でも(設置100日間)捕獲されたのはアライグマ3頭だけで、錯誤捕獲は起こらなかったようだ
参考:錯誤捕獲を解消したアライグマ専用捕獲器の開発(PDF:247KB)

近年増加する鳥獣被害だが、思った以上に法律の縛りが厳しく有効な対策が打てないことが多い
鳥獣保護法は野生動物の保護に関して重要な法律であるのは間違いないが、現代の事情に即した運用がなされるように大幅な見直しを行う必要がある時期に来ているのかもしれない


 

最近狩猟やジビエを扱う漫画が増えている
なおアライグマは特定外来種なので捕獲後は移動や譲渡は禁止なので速やかに処分する必要があるようだ

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