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<スイセンの致死量10gは誤りです>ニラと間違えスイセン誤食 60代男性が食中毒で死亡 北海道・室蘭

      2019/04/10

(左)スイセンと(右)ニラ

(左)スイセンと(右)ニラ

室蘭保健所は31日、保健所管内の60代男性が自宅敷地内に生えていたスイセンをニラと間違えて食べ、食中毒で死亡したと発表した。

保健所によると、男性は29日午後4時ごろ、植物を採り、炒めて食べた。同7時ごろから下痢や嘔吐(おうと)を発症し、30日午前に医療機関へ救急搬送されたが、31日正午ごろに容体が悪化して死亡した。(yahooニュース 北海道新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160531-00010004-doshin-soci


 

またスイセンの食中毒の話題。しかし今回は1990年以降北海道内では初めての死亡事故になってしまったとのこと

この1か月でもいくつか誤食による食中毒事件が起こっているのに事故がなかなか止む気配がないのは残念である
少しでもニュースなどで目にする機会があればよかったのだが…
リコリン、ガランタミン、タゼチンなどのアルカロイド類が有毒成分のようだが厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルによると致死量10gとなっているがこれはリコリンやガランタミンの致死量が10gということの間違いではないだろうか?(実際にリコリンのwikiには致死量は10gとある)

多くのページで厚生労働省のページを引用してスイセンの致死量が10gと書いてあるが、一般的なニラの一束のパッケージは100gである
あれの10分の1で致死量とはちょっと考えにくいような気もする
本当ならば超危険植物扱いされているだろうし、死亡例ももっと多くなるはずと思うのだが

スイセンには多い部位で100g当たり有毒なアルカロイド類が合計0.1g程度含まれることもあるようである
ある程度まとまって食べるとかなり危険なのは間違いないだろう

(追記)
記事を担当した 医薬基盤研究所薬用植物資源研究センターに問い合わせたところ、やはりスイセンではなくリコリン自体の毒性が致死量10gということ
該当ページはすでに修正依頼を出しているため近々修正されるらしい

ということは死亡した男性は少なくとも1kg以上食べた可能性が…

ところでふと気になって「スイセン+致死量」で検索してみると何10ページたどってみても「スイセンの致死量は10gって恐ろしい」と書いているページしかなく、その量に疑問を呈しているサイトはほとんどないようである
これから厚生労働省のページが修正されたとしても一人歩きしてしまったスイセンが10gで致死量という間違ったネット知識は修正されることはないであろう
インターネットで情報を発信したり、その情報を元に判断するにはきちんとした知識と判断が求められることを改めて思い知らされるものである

(再追記)

自然毒のリスクプロファイルの該当ページは修正されたようで、致死量自体の表示が削除されたようです

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