農トピ

農業や科学に関する話題やニュースを紹介

「どうすればいいのか」予想外の法律に困惑 住宅街にアナグマ 駆除に厳しい現実…という記事でどうすればよいのか考えてみた

   

アナグマ 顔中心の縦に白い縞が入っているのが特徴である

アナグマ
顔中心の縦に白い縞が入っているのが特徴である

福岡県飯塚市二瀬地区の民家で6月、有害鳥獣のアナグマが捕獲された。本来は山地や森林地帯に生息するアナグマが住宅街で見つかったことも驚きだが、駆除の現場に立ち会うと思いがけない問題点を知ることになった。

(中略)
市内のホームセンターで捕獲器を1万円で購入して約半月、設置場所やエサを変えながらようやく捕獲に成功した。処分を依頼するため市に連絡すると、駆けつけた農林振興課職員は予想外の言葉を告げた。
「(禁猟期である)今の時期、無許可で捕獲器の設置は認められていません」

鳥獣保護法では、わなを設置するのが自宅の敷地内であっても、猟期(11月15日~翌年2月15日)以外の期間ならば、わな猟免許が必要。今回のケースも厳密には違法行為となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される恐れもある。ただし捕獲器の購入・販売については、猟銃のような厳しい制限はない。
「安い買い物じゃないのに、店も説明してほしかった」と不満げな男性。1頭は捕獲できたがアナグマに家族がいれば被害は続く。「これからどうすればいいのか」と困惑する。(西日本新聞 yahooニュース)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170715-00010000-nishinpc-soci


 

アナグマを捕獲したら市職員に違法行為であると言われ当惑したという話題
どうすればよいのか、と煽るだけで終わっているのがこの記事の残念なところである
若干補足する必要のある内容もあるのでフォローしていきたい

以前農トピでこれに近い話題を扱ったことがある
小型箱わなの対象拡大 環境省、鳥獣管理指針見直しへ
これは狩猟免許が必要であったが小型箱罠設置を、農業者などが被害軽減の目的ならば自敷地内に限り免許が必要なく行えるようになったという話題である
また、外来生物なども捕獲できるようになっている
ただしこの場合でも自治体などへの申請は必要である

狩猟免許が必要で、猟期などの用件があるのは狩猟の場合である
野生動物の捕獲には狩猟のほかに有害鳥獣駆除や調査目的のための許可捕獲というものがある
この場合は自治体の許可が必要ではあるが猟期は関係なく行える
今回の例の場合では近隣の廃屋がアナグマの巣となっていた上に農作物被害が出ていたということで、有害鳥獣駆除の許可は十分に出たはずだ
よって「どうすればよいのか」という問いに対しては「市役所担当職員に相談するとよい」が正解であろう

この例ではその担当員が実際に来ているのであり、この記事は意図的にそのあたりを書いていないようにも感じられる
「対策を真剣に考えることが問題の抜本的な解決につながると感じた」と記事を結んでいるが真剣に記事をまとめてほしいものである

確かに鳥獣保護法と狩猟に関する法律は時代錯誤な部分も多く、見直しが進められている分野である
実際この事例でも家庭菜園をアナグマが荒らすからと言っていちいち担当職員が連絡を受けて有資格者を派遣するということは非効率であるのは間違いない
大型動物の狩猟と違って利権も発生しにくい小動物捕獲に関しては、自敷地内の農業被害軽減目的であれば無申請で設置可能というふうに法改正しても問題ないのではないだろうか
農業者の自主的な対応を促進することが農業被害を減らす一番の近道であることは間違いない
この事例のような小さな事案でも公的機関に申請が必要な現状を早急に改正しなければ、自主的に対応しようとする農家の意欲を削ぐ可能性があるのではないだろうか

なお、地元農家にこの話題を質問したところ
「普通は川に漬けたあと埋めるだろ、役所に連絡する意味が分からん」
という大変ドライな返答を頂いた

また、知人猟師に質問したところでは
「猟犬の訓練に使うから俺に言ってくれれば生きたまま貰って帰るわ」
というその後を想像したくない返答を頂いた
やはり職業猟師は普通ではない


 

 - 農政, 農業環境