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経済対策、10兆円超=建設国債発行を検討=安倍首相が月内策定を指示

   

石原伸晃経済財政担当大臣

石原伸晃経済財政担当大臣

安倍晋三首相は12日、デフレ脱却へ向け、石原伸晃経済財政担当相、麻生太郎財務相ら関係閣僚を官邸に集め、景気を下支えする総合的な経済対策を月内をめどに策定するよう指示した。事業規模で10兆円超の大型対策とする方向で調整。財源として、公共事業などに使途を限った建設国債の追加発行も検討する。2020年度の財政健全化目標は堅持し、赤字国債は発行しない見通しだ。(時事ドットコム)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071200623&g=eco


 

先日予想されていた補正予算の内容が明らかになってきたというニュース
「構造改革を進めるとともに未来への投資の加速を目的とする総合的かつ大胆な経済対策」として10兆円規模という大型の補正予算を組み、16年度第2次補正予算案を9月に召集する臨時国会に提出する方針とのこと

内容的に目玉としてはJR東海のリニア中央新幹線の大阪延伸の8年程度前倒しや整備新幹線の建設を後押しする考えのようだ
また中小企業・小規模事業者や海外進出企業の資金繰り支援などの施策を盛り込む

具体的には将来の成長につながるインフラ投資としてクルーズ船受け入れのための港湾施設整備のほか、地方のホテル・旅館の改修・建設支援など訪日外国人観光客4000万人の目標達成に向けた観光業強化策を推進する計画

保育・介護の受け皿整備、年金受給資格を得るための保険料納付期間の短縮、無利子奨学金の拡充なども盛り込む

現在のところ農林水産部門としては政府が掲げる農林水産物・食品の輸出額1兆円(15年は約7450億円)の早期達成に向け、輸出関連のインフラ整備を加速、という項目が上がってきている

さて、この農林水産物・食品の輸出額1兆円だが以前ホタテの記事で書いたように生鮮食料品以外のものが多く含まれており、一般人が農産物の輸出と聞いて違和感を感じるものも多い

具体的な順番としては金額順に並べると
ホタテ(590億円)
アルコール飲料(390億円)
真珠(319億円)
ソース調味料類(264億円)
たばこ(236億円)
清涼飲料水(197億円)
さば(179億円)
菓子類(177億円)
播種用の種子類(153億円)
ぶり(138億円)
かつお・まぐろ(138億円)
りんご(134億円)
となっており生鮮農産物としては12番目にようやくりんごが登場する

出典:農林水産省の輸出概況(pdf)

農産物輸出が右肩上がりだとのニュースの見出しだけを見ると米や野菜や果樹類がどんどん海外に進出しており、高級農産物として高値で取引されているイメージになるが実際はこのような現状である
個人的には農産物で輸出統計に載っているのはりんごとお茶で250億円程度、畜産物で牛肉と豚の皮で200億円程度しかないというということしっかり注釈として記述しておいてほしいものである
統計のマジックとまでは言わないが、真珠などの装飾品、酒や調味料や菓子などの加工食品を含めた数字で輸出1兆円を達成し、日本の農業は世界に通用する実力だといわれても素直にうなづけるものではない

りんごの国内生産量は80万トン、輸出は3万5千トンなので輸出が伸びているというりんごでさえ国内生産量からするとわずか4.4%ということを知っておく必要があるだろう
やはり日本の農業を支えるには国内での生産基盤強化、消費拡大を刺激するしかないのではないだろうか

先日の選挙では主に米産地と思われる東北で農業票が現政権に異議を唱えた結果となった
今後の農林行政にてその結果を無視するわけにはいかないだろう
今のところ補正予算では農林水産関連は上記の輸出関連予算しか明らかになっていない
響きのいい数値目標の達成を目指すのも結構であるが現場の意見に基いた農業振興政策がしっかりと論議されることを期待している

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