市街地にエゾシカ 対策としてのオオカミの尿は効果なし
道内各地でエゾシカの農業などへの被害が相次ぐなか、稚内市ではことし、市街地周辺に入り込むエゾシカが増えて住民が迷惑しています。
(中略)
エゾシカが増えるなか稚内市も手をこまねいてきたわけではありません。
4年前には天敵のオオカミの尿を使って侵入を防ごうとしました。
しかし、オオカミの尿を含ませたシートを住宅地に設置しても効果はありませんでした。
なぜ、天敵であるはずのオオカミの尿が効かなかったのか。
旭山動物園の飼育担当者よりますと、昔、北海道にいたエゾオオカミは、絶滅して100年ほどたち、シカ自身も初めてかぐ臭いで、この臭いがどの程度自分にとって危険なのかというのが経験的にはわからないのではないかと言います。
このため稚内市は、来月、別の方法で捕獲を試みることを決めました。
それは「吹き矢」を使う方法です。
猟銃と違って住宅地でも使うことができ、実際に道東の羅臼町などで効果が上がっています。(NHKニュース)
エゾシカ対策にオオカミの尿の成分は効果がなかったという話題
オオカミの尿に含まれている臭い成分に野生動物に忌避効果があると言われ、その効果をうたった商品も一般に販売されている
また、鉄道線路にライオンの糞を撒いたらシカが路線に立ち入らなくなったというような話題もあるようだが、実際にはこれらはほとんど効果は無いようである
今回のニュース以前に農研機構の調査によってもイノシシ対策としてのオオカミ尿は効果がないと結論付けられている
イノシシ対策に使われているオオカミ尿には忌避効果がない(農研機構)
天敵は怖い→天敵の尿などの臭い成分を警戒する→忌避剤として使えるという理論は一見筋が通っているように見えるが、実際はその臭い成分と自身の危険という経験が結びつかないことには忌避剤として使えるようなものではないということだろう
いや、実際に効果があったという反論もあるかもしれないが、その多くは道具を設置したり効果を調査するために人間が頻繁に立ち入ったためにそれを警戒しているというパターンがほとんどである
仮に今まで経験したことのない臭い成分として警戒することがあったとしてもそのままではすぐに慣れてしまうことは間違いない
JRでは忌避の対策はあきらめて結局車体に鹿よけのクッションバンパーを取り付けることになった例もあるようだ
鉄道車両の前面に衝突対策クッション 進む標準装備化(乗り物ニュース)
そこで次に取られている対策が「吹き矢」ということだがこれはどういうことだろうか
これは市街地では猟銃の使用に厳しい制限があるし、弓やクロスボウは狩猟道具としては法律で禁止されているという理由があるようだ
市街地のエゾシカ、吹き矢で捕獲 稚内市 猟銃使えず新対策(yahooニュース)
ただし麻酔吹き矢も5m以内に近づく必要があること(およそ畳3枚分)、麻酔薬を扱える専門業者しか行えないこと、麻酔で捕獲した個体は食用にできないためそのまま処分するほかないことなどの問題点もあるようだ
しかし引用記事の写真を見るに、これほど市街地でもシカが頻繁に出るようであればこのような対策だけではいずれ後手に回ってしまうことだろう
イノシシなどでは市街地でも緊急措置での発砲が許可される事例もまれにあるがシカではそうもいかない
現在日本では禁止されているがテーザーガンなどはこの用途にはもってこいのような気もするのだがどうだろうか