錠剤サイズの「飲む体温計」、動物実験に成功 レモンと同じ原理で胃酸発電
2022/07/21
東北大学は3月13日、口から飲み込める錠剤サイズの体温計を開発し、犬を使った実証実験に成功したと発表した。胃の通過時に胃酸で発電し、30分に1回のペースで腸内温度を計測。24時間以内に体外へ排出される。より正確な体内温度を把握することで、病気の早期発見や健康促進が期待できるという。(yahooニュース itimedia)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00000064-zdn_n-sci
錠剤サイズの体温計の実験に成功したという話題
通常の体温計では正確に測れない腸内温度を正確に測定することが目的らしい
通常の電池を用いた物はすでに作られたこともあるようだが、今回の発表のポイントはこの体温計が使用する電力自体を体内で発電することで賄えるという仕組みにあるようだ
コンデンサに貯まる程度の電気なら最初から充電していけとか、下水処理場で破棄されることを想定するならば通常の電池でもいいのでは?などという突っ込みは野暮なものである
タイトルにあるレモン電池だが、実はレモンはそう重要ではなく主役は電極として用いられる2種類の金属である
科学実験でよく使われるのはアルミと銅、歴史上初の電池といわれるボルタ電池では亜鉛と銅、そして今回はマグネシウムと白金である
これらの原理は共通しており、負極側の金属と陽極側の金属のイオン化傾向の違いにより、溶液に負極側の金属が溶け出すことによるものである
負極側は胃酸と反応して体内に溶け出すことになるため今回マグネシウム(Mg)が利用されたのだろう
食品ではいわゆるにがり成分にあたるのでアルミや亜鉛イオンを取り込むより健康への影響は少ないはずだ
陽極側に白金(Pt)が使われたことにも理由がある
もちろん体内への影響が少ない金属ということもあるがほかにも理由がある
通常の銅板を用いたレモン電池の実験では理論値0.8Vまで上がることはなく、水素が反応するためのエネルギーが消費される水素過電圧というものが働き起電力が約半分まで落ちてしまうことになる
白金はそれ自体が触媒的に働き、この水素過電圧を低く抑えることができるため理論値の0.8v近い値を出すことができる
というわけで夏休みに科学実験でレモン電池を光らせたいという方はぜひ白金電極を利用して…と言いたいところだが入手方とコストの面で難しい
豆電球を光らせるには意外と電流を多く必要とするのでこれらのこともあり、通常の実験系ではまず点灯できない
ではLed電球ならと考えるが、LED電球は電流は少なくてもよいが通常のものは2.5V近く電圧が無いと点灯しないので低電なもの(赤色ダイオード)を選ぶ必要がある