アトピー性皮膚炎のメカニズム、理研が解明 ワセリンで予防の可能性
理化学研究所は4月26日、アトピー性皮膚炎の原因遺伝子を突き止め、ワセリンを塗ると発症を予防できる可能性があるとの研究成果を発表した。新たな治療法や予防法の確立につながるという。
アトピー性皮膚炎を自然発症するマウスを作製し、病気の原因となる遺伝子変異を調べたところ、細胞の増殖や分化に必要なたんぱく質「サイトカイン」を伝達する「JAK1」分子の遺伝子配列に突然変異が生じていることを発見した。JAK1の異常が角質をはがす酵素「プロテアーゼ」にも影響し、角質による保湿効果が低下することで、アトピー性皮膚炎を招く――というメカニズムを解明した。(yahooニュース)
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6199155
今回は注意の必要な話題。引用したYahoo!の記事(itmedia)のタイトルでは「アトピー性皮膚炎のメカニズム、理研が解明 ワセリンで予防の可能性」となっているが、実際の理化学研究所のページに行ってみると「アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明-JAK阻害剤または保湿剤でアトピー性皮膚炎を予防-」となっている
内容を要約すると通常は表皮の中でプロテアーゼ(加水分解酵素)発現が適正に保たれて皮膚バリアの恒常性を保っている。そこにJAK1シグナルが強く入ると皮膚バリアが破壊され、真皮(表皮の下にある線維性結合組織)の自然免疫系の活性化も招いて、アトピー性皮膚炎発症に至るという仕組みが解明されたということである
さらにJAK阻害剤を投与することにより異常をもとに戻すか、保湿剤などで皮膚バリア機能を補ってやれば皮膚炎が発症しなかったということが記事の要約である
Yahoo!の記事のタイトルではアトピーの特効薬はワセリンであるという風に取られかねない作為的なタイトルであり、様々なサイトで「今更ワセリンかよ」などと書かれているのは的外れだが仕方ないところである
発症したアトピーが治るなどとは原文では一言も書いていないし、保湿さえできればワセリンである必要はない
理化学研究所のプレスリリース
実際のヒトでもアトピー患者の6人中4人においてJAK1が活性化していたとのことであるからここから発症しているアトピー性皮膚炎を効果的に治療できる仕組みが発見される筋道が見えたというところであろう