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ニワトリの臭いでマラリア蚊を撃退、安全な防虫剤の開発目指す

   

ニワトリ

ニワトリの臭気成分が蚊に対して忌避効果があるという

エチオピアの科学者チームが、蚊がニワトリの臭いを強く嫌うことを発見し、毎年数十万人の死者を出している感染症、マラリアを防ぐ革新的な方法の開発に期待を寄せている

エチオピア西部にある3つの村で実験を行った結果、ニワトリを入れたかごをつるして、その下で眠った家族の家には翌朝、蚊がいなかった一方、ニワトリを室内に入れなかった家には蚊が存在した。

しかしニワトリを入れたかごをベッドの上につるすと眠りにくいため、その後の実験ではニワトリの抽出物を入れた薬瓶を村民らに支給した。この実験でも、同様の結果が得られた

「この防虫剤は、人間に害なく使用できる上、土壌や水を汚染したり、人体に害を及ぼしたりする残留物も出さない。さらに、マラリア予防対策に容易に組み込むことができる」と、テキエ教授は指摘した。(AFP ヤフーニュース)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160727-00000005-jij_afp-int


 

ニワトリ由来の臭気成分が蚊に対して忌避効果があるという話題のニュース

実験によるとニワトリをカゴに入れて吊るして、その下で眠ると蚊がいなかったということらしい
おそらくこの住民は副作用としてその日の寝覚めも早かったことだろう

もちろんこのままでは睡眠に問題があるのでニワトリ抽出物で実験したところ同様の効果が見られたらしい

基礎研究として大変面白い実験であるが、博士の言うように実際の現場に投入されるかどうかは少し疑問が残る
現状で室内での蚊対策は蚊取り線香を始めとした合成ピレスロイド剤が非常に安価に、また便利な形で市販されているため、生物由来の蚊対策薬剤が今から市場価値があるとは思えない
ニワトリ抽出物を大量に用意するなどはコストがかかりすぎるし、成分を特定して合成するとなれば天然由来成分という強みもなくなってしまう

ただ、屋外での虫除けスプレーなどは現在ディート(ジエチルトルアミド)を使ったものが主流だが健康被害が指摘されているし、ハーブ類を使ったものは効果が低いという問題もある(ハーブ由来の抽出物だからと言って安全とは言えないことも注意である)
成分の特定とその作用機構などが明らかになってくれば、たとえば虫除けスプレーなどのほかに衣服や建材などに応用することも考えられるため、今後研究が進歩すればさまざまな可能性が出てくるのではないだろうか

余談だがネット上でこのニュースを見てニワトリが蚊よけになるから殺虫剤メーカーの金鳥のマークがニワトリなのか、と言っている意見があるがこれは間違いである

実際は創業者・上山英一郎氏が、司馬遷の史記に出てくる故事「鶏口となるも牛後となる無かれ」ということから付けたとのこと
実際に蚊取り線香でシェア1位を取っており、この社名の由来の言葉を達成しているのは見事である

 

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