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ドローンを農業に活用する6つの方法

      2016/09/13

農薬散布ドローン

農業界でもドローンの利用が進んでいる

AmazonやGoogleが配達ドローンの開発を着々と進めていたり、警察がテーザー銃付きドローンを配備開始したり、釣りができるドローンが登場したりと、ただ飛ばすだけでなくさまざまな活用方法が考案されているドローン。そんなドローンを農業で活用する方法6つをMIT Technology Reviewが公開しています

農業でのドローン活用事例

1:土と畑の分析
2:種まき
3:農薬散布
4:作物のモニタリング
5:かんがい
6:作物の健康状態の評価

詳細は記事元へ(gigazin)

http://gigazine.net/news/20160725-drones-revolutionizing-agriculture/


 

ドローンを農業に活用しようという場合現在6種類ほどの方面で研究が進んでいるという話題

大きく分けるとこのうち1,4,5,6はカメラやセンサーを使って作物や土壌の状態を観察、分析するという行為であり、2、3はドローンから実際に何かの農作業の行為を行うこととなっている

なおドローンとは小型の無人航空機全般を指す言葉で、一般の人がイメージするドローンはマルチコプターという機体に分類される
旧来より農業界で利用されているラジコンヘリなどもドローンの中に含まれることに注意である

現在のドローンはセンサー類が発達し、自動で高度維持、障害物回避、自動運行なども容易であり従来のラジコンヘリなどのように熟達した技能などがなくとも利用可能であるし、画像以外にも様々なデータが収集可能となっている
そのため分析分野では今後すぐにでも活用が進んでくるだろう
問題は農薬散布に関してである
よく農業でドローン活用=農薬散布をドローンで、という話題になるとこれからすぐにでも業界が切り替わっていくことがイメージされるが、日本においては実際はなかなか進まないだろうと思われる
それには農薬の登録と散布量の問題が関係している

現在ラジコンヘリなどで散布される農薬はほとんどが水稲に関するもののみとなっている
通常の防除体系では10a当たり数百リットル単位の散布となるが、国内メーカーの農薬散布用ドローンZion(ザイオン) AC940などでは積載量5Lとなっている
そしてこの積載量(ペイロード)の関係上、通常よりかなり高濃度で少量散布する状況で使用登録がある薬剤しか使えない
要するに現状では限られた薬剤を限られた品目でしか利用できないことになっているのである

例えばかんきつ類で使用可能なジマンダイセン水和剤だと通常は600倍に希釈して、10a当たり300~600L程度散布するものである
これが航空機用の登録では5倍希釈で4Lの散布である(参考:グリーンテック 航空機用登録農薬 殺菌剤 水稲以外
使用量的には通常散布とほぼ等しくなることと、この薬は樹に付着させておいて降雨とともに徐々に溶出して保護殺菌するタイプの薬なのでおそらく通常通りの効果が見込めるものと思われる
ただこの薬剤一種類のために高額なドローンを導入するわけにもいかない
かんきつではこの他に年間に10種類程度の薬剤の散布が必要となるからである

ペイロードに関してだが、ローターの大きさに比例するために基本的にシングルローター(いわゆるヘリ型)に対してマルチコプター型はペイロードが稼ぎにくい
現在のラジコンヘリでは30Lまで積載できるものもあるが、最大手DJIのリリースした機種Agras MG-1(人間の60倍効率的に農薬を散布するドローン「Agras MG-1」をDJIがリリース)では10Lまでである
ただしこのほかにラジコンヘリに比べて従来より問題とされていたモーター駆動では発熱で長時間運用できない問題は強制空冷で、マルチコプターでは一つのロータートラブルが墜落につながる危険があるという問題はヘキサコプターとすることで解決しているようである

私も玩具レベルのラジコンヘリと4羽のドローン(とあえて記述する)を操縦したことがあるが、圧倒的にドローンの方が操縦が簡単であるのは間違いない
農薬散布などのように平面を平行に一定速度で移動するというのはドローンの最も得意とする行動であろう

このように機体の方は今後の進歩で革新的に農薬散布に使用しやすくなることも考えられる
折しもガソリンヘリタイプでの新たな農薬散布ドローンの国内新規参入も発表されたところである
テラドローン、農業分野に新規参入、農薬散布用UAVを販売開始

これに対応できるように法律でのドローン使用の規制緩和と農薬メーカーの高濃度散布での農薬登録を促進していかなければ国内でのドローン使用はなかなか普及していかないだろう
世界と競争できる強い農業を目標に掲げるならばこのような面での改革も推進していく必要があるのは間違いない
表題に挙げたようにすでに外国では様々な形でのドローン利用が始まっているのである

 - 農業環境, 農薬