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ジビエ拡大 官邸が旗振り役 流通整備に大胆戦略

   

スコットランドでの鹿肉料理

海外のように獣肉を普通に食する文化がない日本では様々な困難がある

 

野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用を拡大していくため、政府は菅義偉官房長官を議長とする関係省庁の対策会議を設置する。5日に首相官邸で初会合を開く。省庁の縦割りをなくし、官邸主導で大胆な戦略を打ち出す。課題となる効率的な流通体制整備や、需要の掘り起こしにつながる具体策を検討する。伸び悩むジビエ利用を大きく進め、地方の経済成長につなげる。食肉利用が広がれば、狩猟を一層推進し、農作物被害の抑制につながる期待が大きい(yahooニュース 日本農業新聞)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170405-00010000-agrinews-pol


 

省庁を横断した「ジビエ利用拡大に関する関係省庁連絡会議」が設置され、初会合が行われたという話題

当サイトでもジビエ推進についての話題はいくつか取り上げたが、いよいよここまで来てしまったかという感である
何しろ官邸主導で官房長官が議長、副議長が農林大臣ともなればかなり強引にでも何らかの結果を出さないわけにはいかないだろう
この会議の結果が18年度の予算に反映されるとのことであるため、本年度の現場担当者の仕事は倍に膨れ上がることが予想される

さて、引用元の記事にもある通り鳥獣害の問題が複雑化している原因は管轄省庁が分散していることも大きい
ジビエを利用する必要が出てきたのは農業被害抑制のためであるが、野生鳥獣の捕獲に関しては管轄は環境省であり、また食肉などに利用する際は食品衛生法などを管轄する厚生労働省の範疇となっている

そのためこれまででは農家が捕獲や駆除をしたくても様々な規制があったり、食肉として流通させるためには現行のシステムでは正規に流通させることができる品質となる肉はごくわずかであるといった問題が生じていた
副議長が農林大臣ということで、農林省にある程度自由な権限を与えて効率的な鳥獣対策が取られることが農トピ的な理想であるが、会議の名称が「ジビエ利用拡大に関する関係省庁連絡会議」である以上、かえって枷をはめられる結果となる事もありうるだろう
農業者サイドとすればジビエの利用が義務にならないよう願うのみである

本当に必要なのはジビエを利用するための会議ではなく、ジビエを利用しなくて良くなるよう農業被害が減らせるような方策を論じる会議であるべきではないだろうか


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