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6年連続39%止まり 米の消費減 小麦補う 15年度 食料自給率

   

米

自給率の数値の意味とは

農水省は2日、2015年度の食料自給率がカロリーベースで39%と、6年連続で横ばいだったと発表した。自給率の高い米の消費が減ったが、小麦などの国内生産が増え、前年度と同率にとどまった。政府は25年度までにカロリーベースで45%に高める目標を掲げるが、足踏み状態が続いている。今後、環太平洋連携協定(TPP)の影響も懸念される中、国産農産物の生産基盤の立て直しや需要拡大が急務となっている。(yahooニュース)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160803-00010002-agrinews-pol


 

27年度の食料自給率が公表され、カロリーベースの食料自給率が6年連続の39%となったという話題

目標値の45%に向けて様々な農業振興政策がなされているが達成の見通しは立っていない
ちなみに2015年3月に45%に引き下げられており、それ以前は50%の目標値であった

さて、自給率問題が話題になるといつもこの数値自体に批判的な意見が出るのでいくつか注意するポイントを挙げてみる

まず、カロリーベースの自給率などを計算しているのは日本だけで、外国の数値も日本が独自に試算したものであること
FAOなどでは輸入依存率(IDR)や主要な穀物の重量ベースで自給率などは取り上げられることもあるようである
カロリーベースでの計算なので、当然野菜や果樹などが国内でいくら生産されても自給率の数値向上にはあまり寄与しない

また、輸入農産物のカロリーと日本人の平均摂取カロリーを比較しているため廃棄された食品の分も供給カロリーとして計算されている
日本で消費されている食品のうち3割は廃棄食品となることを考慮すると実際に消費されている食物のみで計算した自給率は56%を超えるとのこと

また畜産物は飼料の多くを輸入に頼っているが、自給率の計算では飼料が自給できているもののみをカロリーベースの自給率に算入することとなっている
しかし現在の農業で使用されている肥料や燃料などもほぼ輸入に頼っていることから自給率がいくら高まろうとも食料安全保障の面からは意味がないという指摘もある

逆に生産額ベースでは66%と6年ぶりに前年度より増えた
これは天候不順などによる品薄高が影響しているということで単純に数値が向上することが農業の振興の結果だとは言いにくい

このように自給率の話題では39%という数値のみが先行して意見が交わされることが多いが、それぞれの数値の意味をよく理解して様々な方面から冷静に分析する姿勢が必要ではないだろうか

 

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