町おこしで産業用大麻を栽培していた会社代表が大麻所持で逮捕
畑で栽培の産業用大麻を押収 容疑者宅も家宅捜索 鳥取
鳥取県から町おこしのために産業用大麻の栽培許可を受けた会社「八十八(はちじゅうはち)や」=同県智頭(ちづ)町=の代表が乾燥大麻の所持容疑で逮捕された事件で、厚生労働省の中国四国厚生局麻薬取締部は20日、大麻取締法違反の疑いで、町内にある代表の自宅や会社を家宅捜索し、畑で栽培していた産業用大麻を押収した。乾燥大麻と同一かどうか鑑定する(朝日新聞デジタル)
鳥取で産業用大麻を栽培していた会社の代表が逮捕されたという話題
その後のニュースでは鳥取県全体で産業用大麻自体の栽培を禁止にするということになったようだ
県域での全面禁止は全国初とのこと
この話の前提として産業用大麻とは何かということを知っておく必要がある
大麻はヘンプ(hemp)とも呼ばれ様々な用途に利用されてきたが、現在の日本でも許可を受け大麻を栽培している事業者が30程度存在する様だ
今回逮捕された智頭の会社では収穫した大麻から麻の実粉やアラソ(麻繊維)、美容向けのヘンプオイル(麻の実油)などに加工して販売していた
他に生産されているものの用途としては神社のしめ縄や大相撲の横綱がしめる化粧回しといった伝統行事などの特殊用途に用いられているらしい
日本古来より自生していたのは大麻であるためこのような伝統的なものには代替品ではなく大麻から作られたものが必要なようだ
(衣類では「麻とは亜麻と苧痲に限る」と法律で規定されており、衣類の麻は大麻草ではない)
もともと日本にあった大麻は麻薬成分となるカンナビノイド、THC(テトラヒドロカンナビノール)の含有量は少ない品種だったが、現在の規制ではすべての大麻が都道府県知事の許可が必要であり、どの品種が産業用大麻であるという分類があるわけではない
全国で生産量1位の栃木県では品種改良によりTHCがほとんど含まれない大麻であるトチギシロという品種が産業用大麻として栽培されている
ただしこれは県育種の品種であり県外での栽培は許可されていないようだ
今回の舞台となった鳥取県智頭町は人口7500人の典型的な過疎地域であり、ここに移住してきた上野俊彦容疑者が「昔はこの集落で大麻をやっていたという話を聞いて、休耕田、耕作放棄地がいっぱいあるので、活用して地域活性化の起爆剤にしたい」と町長に持ち掛けたことから話は始まっている
日本の伝統文化を守るという町おこし事業として町長も後押しし、都道府県知事の許可の必要な大麻栽培免許の取得にも協力したということでショックも大きいようだ
一時は安倍首相夫人の視察も受けるなどの注目も集め、日本の伝統文化に光を当てる存在とされただけに関係者にとっても残念な結果である
逮捕された原因は乾燥大麻88gを所持していたということらしいが、麻薬としての使用量は一回当たり0.1g程度という話である
となれば今回所持していた量は言い逃れできるような量ではないだろう
専門家は「大麻は布や食料としてだけではなく、プラスティックや燃料、医薬品にも使える植物です。また、日本の伝統文化とも切り離すことはできません。少しずつ大麻への偏見が解けてきたところだったので、本当に残念でしょうがない。これがきっかけで、大麻栽培の復活にブレーキがかかるようなことにならなければいいなと思うのですが……」と語っている