[資材ナビ] 電気止め刺し器 末松電子製作所 「短時間で安全に」 負担減り捕獲数増 長崎県の狩猟者
長崎県農林技術開発センターなどの研究チームは、害獣用の電気止め刺し器を開発した。捕獲した鹿やイノシシを電気で止め刺し(殺処分)する。作業が素早く、安全にできるため、捕獲従事者の負担が軽減できる。9月から限定販売を始めた。狩猟者に利用のポイントを聞いた。
長崎県東彼杵町の鳥獣被害対策実施隊の粒崎松二さん(68)は「止め刺しが早くできるので、次のわな設置も早く、捕獲数が増えた」と効果を実感する。町から貸与され、試作段階から止め刺し器を利用する。
止め刺し器は、充電式バッテリー内蔵の電源ユニットと、害獣に電気を流す通電支柱などで構成する。支柱先端の通電針(先端電極)を、害獣の背骨付近に刺し、失神させた後、心臓や脳に近い首筋などに通電させて殺処分する。「取り出しやすいように、取り出し口にイノシシを追いやって止め刺しする。最初は失神に20秒、2回目も20秒ほど電気を通す。1分で作業が終わる」と粒崎さん。出血もなく、殺処分までが早い。害獣が箱わなと先端電極に同時に触れることで電気が流れる仕組み。粒崎さんは、箱わなの取り出し口に水2リットルを掛け、電気を通しやすくして、効果を確実にする。
「とにかく作業が安全」と粒崎さん。成獣のイノシシは100キロを超えることもあり、暴れると、箱わなを壊すほど危険。以前は、ロープやワイヤをイノシシの体に絡めて固定して殺処分していたが「大き過ぎると5、6時間かかることも。手が出せず、弱るまで2、3日待つこともあった」と話す
粒崎さんは、地元集落内の10箇所ほどで箱わなを管理する。以前は年間20頭ほどの捕獲が、いまは100頭を超える年もあるほど。今年は8、9月だけで74頭を捕獲。殺処分から箱わなを再び仕掛けるまで短時間にできることで、捕獲頭数増につながったとみる(日本農業新聞)
https://www.agrinews.co.jp/p39326.html
イノシシを罠で捕獲した後の止めを刺す行為が安全で簡単に行える装置が限定販売開始されたという話題
この記事で紹介されるまで聞いたことはなかったが9月頃より販売されていたようだ
開発元の末松電子製作所はもともと害獣用の電気柵関連資材を扱う会社である
さて、記事本文にもあるが捕獲した害獣をどのように処理するかというのは一般人にとって大きな問題である
小動物などは水没や二酸化炭素による窒息などの方法もあるが、イノシシやシカなどの大型動物ではそう簡単には行えない
猟師ですら罠に入ったイノシシに対して銃を使うほどにとどめを刺すのは難しい行為であるらしい
知り合いの有名な猟師は大型のイノシシでもナイフ片手で余裕だそうだが、そんな超プロレベルの人間はそうはいない
ちなみにこの人は銃の世界大会にシニアの部で出場経験もあるとのこと
反撃の危険もあるし、多量の血が流れる行為は農産物の被害を抑えたいだけの一般農家にとってはかなりハードルの高い行為である
(ちなみに山賊ダイアリーでは手製の槍で脇腹から突いて止めをさしていた)
一方で小型罠の設置が簡易になったり(参考記事:小型箱罠の対象拡大、環境省、鳥獣管理指針見直しへ)、猟師人口の維持のために若手や女性のハンターを養成したりする動きもある
そんな時に忘れられがちな害獣にとどめを刺す方法という点において、安全で簡易な方法が開発されたというのは頼もしい事である
殺傷力のある電気を扱うだけに事故防止のためのしっかりとした講習と、使用においての一定の許可は必要だろうが今後普及が見込まれる道具かもしれない