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海底の泥の中の中に存在するウイルスで赤潮の拡大を止める技術を開発

   

赤潮

年間被害6億円とも言われる赤潮の新しい対策とは

ウイルスで赤潮の拡大止める新技術を開発

赤潮の原因となるプランクトンだけに感染するウイルスを使って赤潮の拡大を止める技術の開発に、水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所のグループが成功し、新しい赤潮対策として来年にも実際の海で応用することにしています。(NHK)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161121/k10010776981000.html


 

プランクトンに感染するウイルスを使い、赤潮の被害の拡大を止める方法が開発されたという話題

NHKニュースでは全く新しい方法として報道されているようだが、実際はプランクトンのみに感染するウイルスというのは以前より見つかっており、それに関する研究も以前より行われている

藻場(アマモ場)などの藻類もこのようなウイルスを保有している物が存在し、これらが生育出来るように海洋環境を整えることで赤潮の予防が出来るという報告もあるようだ

生物農薬というものは環境に対応したクリーンな防除方法として近年需要が高まっている。
しかしウイルスに限らず天敵昆虫や細菌などいずれの生物を利用するにせよそれをどのように培養保存し、現場で使用出来る剤形にするかが問題となる

今回は海洋中の泥の中にウイルスが多く存在する点に注目し、泥を海中に散布する事で赤潮の被害を食い止める事ができたというより点が新しい研究成果ということになるようだ
自然界に存在するものをそのまま使うだけなので汚染や二次被害などもないとされている

今回の実験では5種類の赤潮原因プランクトンのうち3種のプランクトンをほぼ死滅させることが出来たという
ということは方法を繰り返せば残り2種による赤潮被害が続くだけなのでは?という疑問も沸いてくる
またプランクトンの世代交代の早さから考えてもオーストラリアのウサギに対するミクソーマウイルスの投入のようにいずれは耐性を獲得してしまう可能性も高い

この技術により新たな赤潮対策の方法の可能性ができたのは間違いないが、赤潮の発生の原因とされる海域の富栄養化の対策という根本を解決しない限りはいずれ手詰まりになる可能性は高いだろう

ちなみにオーストラリアという国は捕鯨に反対している割には多くの野生動物を積極的に殺処分しており、それには過激な手段も使われることが多い
増加した外来種のコイにもヘルペスウイルスを投入する予定ということは以前当サイトでも話題にしている
農トピ内記事:豪州、外来種のコイに宣戦布告、ウイルスを使って壊滅も


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