シャインマスカット苗木 海外で品種登録せず 中国業者が無断販売
2016/06/23
農研機構が育成した人気のブドウ「シャインマスカット」の苗木を、中国の業者が無断で生産、販売している疑いが出ている。中国での品種登録の出願を期限内にしなかったため、有効な対抗策がない。農研機構は近く現地に職員を派遣し、実態を調査する。イチゴなど他の国内育成品種でも同様の問題が起きている。日本の農産物輸出に影響しかねず、海外の品種登録促進など知的財産戦略が課題となっている(yahooニュース 日本農業新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160620-00010000-agrinews-bus_all
中国の業者がシャインマスカットの苗木を無断で生産販売しているという話題
中国内の苗木業者が「陽光玖瑰(Shine Muscat)」という名前ですでに販売しているとのこと
「シャインマスカット」は、農研機構が2006年に国内で品種登録したブドウで、良食味と皮ごと食べられる種なしぶどうという食べやすさが人気で、現在のブドウ業界に活気をもたらしている
栽培面積も年々増えているがそれでも需要の方が多く、市場でも常に高単価で取引されている人気品種である
農研機構ーシャインマスカットのページ
新品種の育成者は、品種登録をすることによって種苗や果実を販売する「育成者権」というものが発生する
しかし海外への品種登録の出願には期限があり、野菜などは国内発売から4年以内、果樹は6年以内ということらしい
農研機構は中国で期限内に「シャインマスカット」を出願しなかったとのこと
同機構はその理由について、「逆輸入は考慮したが、積極的に輸出する観点で検討はなかった」としている
日本の栽培技術が優れているため輸出への影響は限定的とみるが今後中国での調査を踏まえ、可能な対抗策を検討するという
他にイチゴや花などでかつてこのようなことが問題になったことがあるというのになんとお粗末な対応ではないか
この時は日本国内に流通したのち差し止め訴訟を起こした後和解となったようだがその間に数百億円の売り上げがあったという
今回はこれから現地に職員を派遣して実態を調査する予定というが過去の例から何も教訓はなかったのだろうか
検疫のために中国からぶどうの国内への輸入はできないので影響はないというコメントも出しているようだが近年検疫も簡易化に向かう傾向がありいつ状況が変化するかわからない
相手が相手だけにこれから栽培を差し止める有効な対策は存在しないだろう
このままでは中国原産と言い張られたシャインマスカット(とは別の名前を名乗るかもしれない)が海外のブドウ産地に広がっていくことは時間の問題である
記事中に年間数十万の審査料が負担となっていると記述があるが、知的財産権は先に出願されたら覆すのは至難の業である
仮にも農産物の輸出を今後も進める方針ならば真っ先に対策を講じる必要のある分野ではないだろうか
この件を地元の大規模ブドウ農家に聞いたところ、このことで海外でシャインマスカットの名前が普及すれば逆に日本から高級品の輸出増につながるかもしれないということを言われ、てなるほどと思う面もあった
しかし野放し状態なのと管理下にあることでは全く状況が違う
国費が投入されている組織であるならば国益を損なうことのないような状況を目指してほしいものである