コーヒー豆から残留農薬 コロンビア産、厚労省が検査命令
厚生労働省は1日、コロンビア産コーヒー豆から基準値を超える残留農薬が検出されたとして、食品衛生法に基づく検査命令を出した。輸入時に毎回検査が義務付けられる。問題のコーヒー豆は輸入した2社が保管しており、流通していない。
厚労省によると、三井物産が2月にコロンビアから輸入した生鮮コーヒー豆を横浜検疫所がモニタリング検査し、基準値(0.05ppm)の4倍に当たる0.20ppmの殺虫剤クロルピリホスが検出された。また、丸紅が3月に輸入した豆からも0.07ppmが検出された(産経新聞)
http://www.sankei.com/life/news/170501/lif1705010020-n1.html
コーヒー豆から基準値を超える残留農薬が検出されたとして検査命令がでたという話題
コーヒー好きとしては見逃せない話題である
コーヒーの残留農薬に関しては過去に何度か基準値を超えてニュースとなった例がある
2003年にはブラジルなどの産地からジクロルボス(有機リン系殺虫剤)が検出されているし、2008年にはエチオピア産から殺虫剤γ-BHC(リンデン)、クロルデン、ヘプタクロルが基準値を超えて検出されている
今回のクロルピリホスは2015年にも同じくコロンビア産で基準値を超えている
ジクロルボスの時は2度の違反があったのでブラジル産は全量検査が義務付けられるようになったということだが、今回のクロルピリホスの件でも検査の義務付け割合が引き上げられるかもしれない
さて、クロルピリホスと言えば有機リン系殺虫剤であり、日本でも商品名ダーズバンとして登録のある農薬である
また、シロアリ対策の薬剤としても使われている(住居用としては禁止)
コーヒー豆はコーヒーの果実の中の種子であるため、これらを食害するコーヒーノミキクイムシ(ブロッカ、コーヒーベーリーボーラー:CBB)を駆除するために浸透性の高い有機リン系の殺虫剤が必要となるのだろう
虫にとっては害となるカフェインを多量に含むためCBBの清浄国であればコーヒー栽培は殺虫剤はほとんど不要とされていたが、この虫は腸内細菌がカフェインを分解する作用を持つためコーヒーを食害できることが明らかになっている
近年ではCBBは存在しないとされていたハワイなどでもすでに多くの農園が被害を受けているようだ
体長1mm程度の小さな虫だが日本でも検疫有害動植物に指定されている大変危険な害虫である
なおコーヒーは世界でも農薬の使用量の多い農産物と言われているがその使用量の多くはグリホサート系除草剤であり、次いでさび病対策の殺菌剤である
他の作物での有機リン系殺虫剤の残留基準(バナナ3ppm、アスパラ5ppmなど)を含めて考えると、今回のコーヒー豆での基準値越えのニュースを聞いてもそこまで恐れることはないだろう、と思ってしまうのはコーヒー中毒者特有の感情なのかもしれない
参考リンク:日本での作物ごとのクロルピリホス残留基準値
飲んでコロンビアを応援しようという方にお勧め