食料自給率38% 93年冷害に次ぐ 16年度
農水省は9日、2016年度の食料自給率がカロリーベースで前年度から1ポイント減の38%になったと発表した。前年を下回るのは6年ぶり。米の大凶作で37%だった1993年度に次ぐ史上2番目の低さ。自給率の高い米の需要減に加え、北海道での大雨による畑作物の不作の影響が重なった。一方、生産額ベースの自給率は、米や牛肉の価格上昇などを背景に、2ポイント増の68%に上昇した。(yahooニュース 日本農業新聞)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170810-00010002-agrinews-pol
2016年度の食糧自給率がカロリーベースで38%となったという話題
平成22年より6年連続で39%だったのが久々に1%減少した
これは昨年北海道が大雨により大きな農業被害を受けたことが影響している
逆に生産額ベースの自給率では66%→68%に上昇している
これは米価や牛肉などの価格が上昇したことが背景と分析されている
食糧自給率については近年ネットなどで散々な言われようであるが、実際に農水省が発表しているページを見るとカロリーベースでの数字と金額ベースでの数字が併記されていることも確認してほしい
平成28年度食料自給率等について:農水省
問題は農水省の統計の取り方ではなくそれを切り取って今回の表題のように恣意的に扱う側にあると言えるだろう
(それには農水省自身も含まれるが)
さて、添付資料を詳しく見ていくと非常にわかりやすく自給率の構造がまとめられている表がある
これによると表の左側であるカロリーベースでの自給率の向上には油脂、小麦、砂糖の国産率を上げるのが最も近道であることがわかる
逆に言えばそのうち小麦とてん菜(砂糖原料)の被害の大きかった昨年度は自給率が減少しても仕方がない年だったといえるだろう
そして数値向上のためには大豆、小麦、てん菜、さとうきび、そして飼料米などにこれまで以上の補助金を出すしかないこともわかる
またこの資料をよく見ていけば金額ベースの自給率でいえば他国ともそう見劣りしないものであるとわかるだろう
アメリカですら金額ベースでは92%、日本の68%はドイツ、スイスなどと同程度でイギリスの58%は大きく超えている
また、日本がよくお手本にすべきと称えられる農業国オランダは穀物自給率わずか16%ということも記載されている
このように統計のデータは測定の方法やその解釈の仕方によって如何様にも結論を変えられるものである
自給率が低下というその記事の見出しだけで判断せずその数字の表す意味をよく理解しておく必要があるだろう
個人的には果樹農家としてはカロリーベースの自給率計算では自給率には全く貢献できないし、かといって農業産出額(率ではない)などで判断されると畜産や施設野菜などの数字に埋もれてしまう
農水省にはいつまでも自給率といった数値にこだわるのではなく農業政策の効果を測る何か効果的な効率的な指標を生み出すことも考慮していただきたい