バイエル、モンサントの買収ようやく完了
医薬・農薬大手の独バイエルは7日、種子大手の米モンサントの買収を完了したと発表した。モンサントは上場廃止となり、バイエルが唯一の株主となる。実際の統合は8月ごろの見通し。バイエルが一部の種子事業などを化学大手の独BASFに売却を完了することが、当局の承認の条件となっているため(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31527450Y8A600C1EAF000/
かねてより進行していたバイエルによるモンサントの買収がようやく完了したという話題
バイエルによる買収のニュースを当サイトで扱ったときは2016年9月だったので手続きや各国の司法当局の問題をクリアするのに一年半以上かかったということになる
参考:ドイツのバイエルが米国のモンサント買収へ…世界最大の農薬・種子メーカーに(農トピ)
当時の懸念通り各国の司法当局の承認を得るまでが長い道のりだったようだがEUバイエルは2017年10月にモンサントと重複する非選択性除草剤(グルホシネート)と除草剤耐性組換え作物(ワタ、ナタネ、ダイズ)のビジネスを同じドイツのバスフ(BASF)社に売却、さらに野菜種子(非組換え品種)と精密農業部門も売却することで審査をクリアした
最後に残った米国では今年初めに追加の資産売却を提案したことから承認される見通しとなったとのこと
追加の資産売却にはデジタル農業(農業にIT技術を活用する事業)部門が含まれるほか、種子事業の一部が化学世界最大手の独BASFに売却されるらしい
買収後はバイエルによれば
「バイエルが社名として残る。モンサントが今後、社名として使われることはない。製品のブランドネームは維持され、バイエル製品のラインナップの一部となる」
とのことで、長らく悪の企業イメージの付きまとったモンサントの名称は117年の幕を下ろすことになるようである
遺伝子組み換え作物における悪評から距離を取りつつ、しかし進歩する遺伝子編集技術による農業界の変革には大きなビジネスチャンスの可能性を感じているということだろう
これで世界のバイテク企業はビッグ4(ダウ・デュポン、ケムチャイナ、バイエル、BAFS)に絞られた
いまだに遺伝子組み換え=耐性作物+除草剤のイメージで偏見を持たれることの多いこの分野だが、当サイトでも扱うようにCRISPRなどの遺伝子編集による形質変換に主流が移りつつある
直近のニュースでも遺伝子編集イネで収量3割増しという話題もあった
(http://www.pnas.org/content/early/2018/05/15/1804774115)
モンサントの名前を捨てたバイエルが今後どのような商品を開発していくのか今後に注目が集まりそうである
今回の流れの中でBAFSに売却されることになったグルホシネートを原料とする除草剤バスタ
グリホサートが効かない雑草が増えてきた園地にはかなり有効
日本ではザクサなども同成分である