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SBS価格偽装事件の何が問題なのか

      2016/10/19

米

SBS価格偽装問題とは何なだろうのか

 

<農水省>コメ「調整金」禁止へ 取引業者間 農相が表明

国の管理下で行われる外国産米の「売買同時入札」(SBS)で不透明な取引が横行していた問題で、農水省は7日、業者の4割が「調整金」のやりとりを認めたとしたうえで、「国産米の価格に影響を与えている事実は確認できなかった」とする調査結果を発表した。山本有二農相は同日の閣議後の記者会見で「不信感が生じないようにしたい」と述べ、今後は調整金のやりとりを禁止する方針を明らかにした。(yahooニュース 毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161007-00000044-mai-bus_all


 

SBS(売買同時入札)米価格偽装問題についての話題
これまで問題ないとの答弁を繰り返していた山本大臣であるが、各所からの批判を受けて今後は調整金のやり取りを禁止すると表明したというニュースである

さて、当初あまり注目されてこなかったこの話題の問題点とは何なのであろうか

この話題は毎年77万トンのMA(ミニマムアクセス)米の内、10万トンの輸入枠がある主食用向け輸入米の枠の取引に関してである
この米を輸入する際に、国がマークアップと呼ばれる加算金を付加することで輸入米が国産米と同レベルの価格帯になるように調整している

それゆえ輸入米は国内の米価に影響を及ぼさないと農水省は言い続けてきた
これを元にしてTPP法案の中でMA米の枠が追加されることが決定していたはずである

報道の例を見ると輸入業者が1キロ105円で調達、これを国には145円で調達したと申告する
いったん国が145円で買い取り、国内で流通するコメと同程度の価格(194円程度)になるようにするためにマークアップとして国が50円程度上乗せする
国内流通業者は上乗せされた194円で外国産米を購入、国内で販売するという流れである

【図解でわかる】調整金を利用した輸入米取引イメージ(毎日新聞)

そして実際は105円で調達していたため浮いた40円を輸入業者が国内業者に還元し、実際は国内業者は154円程度で輸入米を入手できたということになる

一見誰も損しないこの取引の問題は、実際には安く流通していた輸入米の価格が、国産米と同程度の価格という風に偽装され続けてきたということである
ニュースへのコメントなどで議員が私腹を肥やしているとか業者が差益でボロ儲けなどと書かれているが、これは見当違いであろう
(虚偽の申告からキロ当たり40円もの調整金を生み出していたということは詐欺行為ではないかとも思うがあまりこの辺りは言及されていないようだ)

この輸入米は主食用米ということで外食チェーンなどが利用しているということだが、一般的にイメージされる輸入米と品種も違い食味なども国内産のものとそう遜色ないものなのであるという
外国産米といえば不味いというイメージがいまだ強いが、1993年米騒動でのタイ米のイメージがいまだに残っていることは驚きである
あの凶作からの緊急輸入が結果的にこれまでのどんな政策よりも国産農産物の保護につながっているのは皮肉なことである

国産物と遜色ない輸入米が2~3割安く出回っているということになれば、農水省の言う国内相場への影響がないとは考えにくい
例えば牛丼系チェーン店の利益は一杯数円とも言われている
一食が0.5合(75g)で計算すると、米価が1キロ50円値下がりすれば一杯あたり3.8円程度の経費の利益増加が見込めることになるため、この価格偽装で入手出来る安価な輸入米は相当に魅力的な商品であるといえるだろう

さらに今回の報道では実際の仕入れが105円程度と書かれていたが、海外の米相場は1キロ60円程度とまで言われている
制度の隙をつけば1キロ200円の建前で輸入された米を、国内で100円以下で流通させることも可能なのである

以前より農水省はこのことは知っていたようだが、制度的に禁止されているものではない上に、建前上の高価格を維持した上で速やかに輸入米を流通に乗せてくれるこの調整金はむしろありがたいものだったのだろう
輸入業者は確実な商売ができ、国内流通業者も割安に米が入手できる
損しているのは国民と(マークアップの割合が本来より下がるために国の収入が減る)、輸入米にシェアを取られるコメ農家である
そして何より問題なのはTPPに絡む問題のみならず、これまで農水省が農業の現状として出してきた数字は都合のいいように解釈できるようにして作成されたものだということが明らかになったことだろう

現在審議中のTPPが発効すればさらに米国とオーストラリアからSBS方式で8万トン近い枠が増える予定である
この決定の根拠として、国内業務用米相場と輸入米の相場は大きな差がないという説明を続けてきた政府の態度に矛盾するこの問題は、今国会で大きな火種となることは間違いない


amazonでミニマムアクセス経由のSBS取引正規品と書かれている米は現在これだけのようです

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