日本の農業は持続可能性を失ったのか?
小泉進次郎氏「日本の農業は持続可能性失った」
17日の衆院環太平洋経済連携協定(TPP)特別委員会で、自民党の農林部会長を務める小泉進次郎衆院議員が質問に立ち、農政改革についての持論を展開した。「なぜ農協よりもホームセンターに安いものがある現状が生まれるのか」と切り出した小泉氏は、肥料や飼料の流通を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)の問題点を指摘、「日本の農業は持続可能性を失った」と強調した。(ヨミウリオンライン)
17日のTPP特別委員会の一幕である
この発言だけで多くのニュースサイトに紹介されるのはさすがの影響力である
詳しいやり取りは産経新聞の記事に出ている
長文だが読売の記事とはずいぶん違う印象を受けると思うので興味のある方はこちらも一読いただきたい
【衆院TPP特別委詳報】自民、小泉進次郎氏「いまの農業は、持続可能性を失った」 安倍首相「小泉さんに大いに期待している」。TPPへの農家の不安払拭で共演 (もともとのサイトは10ページに分かれていて読みにくいのでmsnニュースの記事をリンク)
さて、記事のタイトルとなった発言はこの一文である
日本の農業の総生産額、農家の皆さんの総所得も減り、耕地面積は減りました。農家の皆さんの平均年齢は67歳。米農家は77歳。ひとことでいえば、いまの農業は、持続可能性を失ったと思います。持続可能性を取り戻すことこそが、われわれがやらなければならない。言葉を換えれば、農業の構造改革をやらないといけない
日本の農業は持続性を失ったという根拠が農業者の平均年齢であるようだ
特に米農家の平均は77歳となっている
ただしこれは統計上の農業人口というものが
「農業就業人口」とは、15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数の方が多い者をいう
という定義になっているからである
現実的に言えば基幹的な作業を行っている農業者はもう少し若い世代ということになるだろう
2%の法人経営体が3割の農業生産額を占めている現状からするとこのあたりをもう少し反映した統計指標が作成されるべきなのかもしれない
また、逆の面から考えると77歳でも作業ができるほどに米農家は機械化が進んでいるとも言える
今後の技術革新でさらに機械化や省力化がすすめば、77歳が大規模農業を営んでいても不思議ではない時代となるかもしれない
そしてこの後に「なぜ農協よりもホームセンターに安いものがある現状が生まれるのか」という発言である
これは単純にホームセンターや資材業者が農協の金額を調査して、それより少し安い値段に設定して商売をしているからである
それでも農協で購入する理由は営農指導を期待したり、収穫払いが可能であったり、単純にめんどくさかったりと様々な理由があるだろう
大きな経営体では当然肥料メーカーや農薬業者などと直接交渉しており、もともと農協で資材を購入することもない
農業の構造改革という大きな目標を掲げた結果が農協の資材が数%安くなった、だけではあまりに期待外れである
農協は確かに努力不足かもしれないが、農業問題のすべてを背負わせるのは大きな問題があるだろう
小泉部会長にはもう少し根本的な農業改革に着手することを期待したい
農業者の言葉で言えば持続可能性を失うほど農産物は安い
これは市場に出回る農産物が需要に対して供給過剰気味であることを意味している
農家数が減っても、耕作面積が減ってもいまだ農産物は余っているのだ
小泉氏が対談したという若手農家らの
『日本の農業は、これからどうなっていくのだろうか、という漠然とした不安をみんな持っている』
『そのことに対して、国が、政府が、行政が、そして国民が、日本の農業をどうやってこれからも位置付けていくかをしっかりと示してもらえれば、前向きにやっていけるだろう』
この声に答えられるような具体的な農業政策を示していってほしいものである