農家に努力義務 明記 農業競争力強化支援法案
政府が、今国会に提出を予定する農業競争力強化支援法案で、農業資材の調達や農産物の出荷に関して農業者に改善の努力義務を課す方針であることが31日、分かった。併せてJAやJA全農など農業団体に対し、農業者の経営改善への支援や農業所得の増大に向けた努力を義務付ける。
https://www.agrinews.co.jp/p40045.html
農家に努力義務を課す法案が検討されているという話題
ニュース報道としては一般の方にはあまり関係がない話題であろうが農業関係者にとってはなんとも気になる話である
これは今国会に提出が予定されている農業競争強力化支援法案のなかで、農業者に農業資材の調達や農産物の出荷・販売に関して経営改善に向けた努力義務を課すことが検討されているという内容である
文面には「必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるものとする」と規定することが検討されているようだ
しかしこの報道が出た2日後には与党内からも異論が相次ぎ条文が修正される方向で調整が進んでいる
競争力強化支援法案 農家努力義務 修正へ 自民から異論続出
農水省が今国会に提出する農業競争力強化支援法案を巡り、政府・与党は2日、農業者の経営改善などに向け、農業者や農業団体に努力義務を課す規定について、内容を修正する方向で検討に入った。政府が農業者やJA、全農などに一層の改革を促す法的根拠になりかねないと生産現場に懸念が強まる中、修正は避けられないと判断した
https://www.agrinews.co.jp/p40065.html
昨年からの農協改革の流れを見ると、「何も考えない農業者が農協の資材を言い値で買うから農協改革が進まないんだぞ」と言いたいのだろう
農水省が努力義務規定を盛り込むことにこだわっているということだが、これを根拠として農業の現場に更なる影響力を確保しようという狙いが見て取れる
ただ独立した団体とはいえ特措法で守られている農協に政府が口をだすのはまだ道理があるとも言えるが、個々の判断で農業を行っている人達に対して「努力の義務」を規定するというのは現場で農業に携わる者としては納得しかねる部分がある
専業で農業を営む者からすれば、経営努力をしていない農業者などいないというのが率直な感想であるし、逆にあまり経営努力をせずに経営が成り立っているということであればそれは余裕のある経営ができているということになるのではないだろうか
農協の資材が高いというのは一般的なイメージであって、それは適切な営農指導とセットであることや、みんなが使っている安心できる資材ということ、さらに収穫払いや補助金などの入る口座と同じ場所から自動で差し引きされることなどの利便性を期待して利用している人も多いはずだ
(トピ主は経営が厳しいので主に価格面の理由で農協の資材は殆ど買っていないが)
この努力義務規定自体は農協解体が主狙いであろうが、零細や兼業の家庭菜園的農家を今後排除していきたいという狙いもあるのかもしれない
市場経済の元、自分で農業を経営している人に努力義務を課そうというのだ
ここはその前に国民の税金で活動している国会議員と農水省の職員に努力義務を課してほしいものである
これが達成された後でなら農業競争強力化支援法案にこの条文が盛り込まれることに賛成したいと思う