(9/27追記あり)台風10号による農業被害 農産物相場にも影響大
2016/09/27
台風10号は東北、北海道に大きな被害をもたらした
直前にも複数の台風が上陸していたためにかなりの地域で被害が出ているようだ
いくつかニュース記事を取り上げていく
濁流襲い「畑消えた」 復旧へ国の支援急げ 台風10号 北海道・十勝に爪痕
北海道、東北は本来台風の影響を受けること自体まれな地域だが、今年のように複数個が上陸して被害をもたらすような年はこれまでなかったのではないだろうか
大規模農家の多い地域だっただけに全国的にも今後農産物の流通に支障がありそうである
また、直接土砂や雨水の流入で被害を受ける農業のほかに、停電や断水で畜産業が被害を受けている例もあるようだ
動物を扱うだけに一日の畜舎の機能停止で被害が取り返しのつかないものになる場合がある
熊本の震災の時もそうだったが、酪農などは毎日乳を搾ってやらないと体調を崩してしまう
そのため出荷施設が停止していたりすると搾った生乳も廃棄せざるを得ないし、自宅が停電などで機械が使えないとなると牛自体も乳房炎などになってしまう
また、農産物では根菜類、特に玉ねぎの被害が今後大きな影響を及ぼすと考えられる
今年は九州の長雨で、全国2位の産地の佐賀県で壊滅的な被害が出たばかりである
佐賀県産タマネギ記録的不作(佐賀新聞)
これはべと病と呼ばれる病気が昨年末の天候不順で土壌中で繁殖していたところに、4~5月にも平年以上の雨が降り感染が広がったためだが、収量は平年の半分まで落ち込んだとも言われている
これにより出荷時期の早い佐賀産玉ねぎが不足して元々玉ねぎ相場が高値だったのに加えて今回の北海道豪雨である
すでにカレー専門店などで対策に苦慮しているニュースも出ている
北海道の台風豪雨 ジャガイモ・タマネギ高騰 カレー店も“直撃”
玉ねぎが2倍、ジャガイモもすでに1.5倍の相場というから今後はさらに品薄となる可能性があるだろう
おそらく今後は緊急的に海外産の輸入が行われることになるのではないだろうか
佐賀にしろ北海道にしろ、すぐ来年に収量がもとに戻るとは考えにくい被害が出ている
おそらく今後数年は海外産野菜の輸入量が増えるだろう
この間に輸入農産物に売り場を取られてしまわないように今回被害を受けた地域の復旧を急ぐとともに、国内の他産地が連携して収量を確保していく必要があるのではないだろうか
(9/6追記)
北海道だけで6300ヘクタールの被害とのこと
これは東京都の全耕地面積が7400haなことを考えると途方もない面積であることが分かるだろう
ちなみに大分県宇佐市の耕地面積は6600haである
また、玉ねぎに関してだが2015年の生産量は
1位 北海道 580,200 t
2位 佐賀県 157,800 t
3位 兵庫県 88,400 t
4位 愛知県 31,200 t
となっている
ということは台風被害べと病の被害で1位と2位がかなりの被害(4割減ともいわれる)である以上、大きく生産量の劣る3位以下の国内産地で供給がまかなえるはずもなさそうである
すでにゆめタウン系のイズミはニュージーランド産の玉ねぎなどを販売しているようだ
また主に加工用(業務用)だが中国産が例年30万トン近く輸入されているので加工用は問題なさそうである
ジャガイモに関しては検疫の関係から生の状態の芋はほとんど輸入されていない
ただ全国の生産量の80%近くが北海道産だったことと、例年はほぼすべて国内産で賄えていたことを考えるとこちらも何らかの形で緊急輸入される可能性はあるだろう
むしろこちらの方が今後の影響は大きいかもしれない
(9/12追記)
4つの台風を含めて激甚災害に指定されるようです
激甚災害に指定されると復興支援のために国が通常を超える特別の財政援助または助成を行うこととなります
これにより被災地の復興が速やかに進むことを願います
特に北国は冬になると何もできなくなるので…
参考リンク:激甚災害制度Q&A(内閣府)
9/27追記
全国の市場でのの相場はにんじんが平年比+190%、ジャガイモが+50%以上とやはり高騰している模様
玉ねぎは輸入の効果か相場は平年並みに落ち着いているようです