水稲作況100「平年並み」 東北の日照不足影響 9月15日現在
農水省が29日に発表した2017年産米の全国の作況指数(9月15日現在)は100で「平年並み」だった。東北の太平洋地方や関東で登熟期の日照不足が影響し、前回(8月15日時点)調査より作柄を下げた産地が目立った。一方で、近畿以西は生育が順調に進んだ。10アール当たりの予想収量は前年比10キロ減の534キロだった。
前回の早場地帯(19道県)を対象にした調査より8県が作柄を落とし、北海道だけが上げた。
ブロック別では、東北が100の「平年並み」。太平洋側の岩手、宮城、福島を含めた4県が前回いずれも102~105に相当する「やや良」だったが、今回は100~101に落ち着いた。田植え期以降の好天でもみ数は多めだったが、7月下旬以降の日照不足で登熟が進まなかった。
関東は99。県別では栃木県が93の「不良」となった。登熟の停滞に加え、もみ数も少なかった。北陸は99。主力産地の新潟は97の「やや不良」で昨年の108「良」と対照的な作柄となった。同県の主食用米の収穫予想量は前年より1割(6万トン)減る見通し。
東日本で「やや良」以上となったのは北海道など一部にとどまった。
近畿以西は、田植え期から収穫期まで天候に恵まれて豊作傾向。もみ数が十分確保され、登熟も順調に進んだ。99の香川や96の沖縄を除き、全府県が100~104。
9月下旬の台風18号の影響は反映されておらず、今後、作柄が下振れすることも想定される。
全国の作況指数が99~101の「平年並み」となったのは、100だった15年産以来。16年産は103の「やや良」だった。(日本農業新聞)
https://www.agrinews.co.jp/p42047.html
今年の作況指数が「100」の平年並みと発表されたという話題
そもそも作況指数とはその年に予想される10a(1反)当たりの収量を100として、それに対する指数である
基本的に年に3回の発表があり、9月15日ごろに作柄概況調査、10月15日ごろに予想収穫量調査、そして刈り取り終了後に収穫量調査という名前で発表されることが通例である
今回は第一回目の作柄概況調査にあたるが、先日の台風18号などの被害以前の調査であるし、今後の天候の変化次第ではさらに数値が増減することも考えられる
前回の記事では関東以北が歴史的な冷夏となったためコメの作柄が心配されるという内容だったが、8月の生育調査時と比較しても1~4ポイントの減少に止まっている
これについて前回の記事では耐寒性の高い品種に切り替わっていたり、病害虫の対策が進んでいるためと分析していたが現場ではそのままでは済まされない事情もあるようだ
農水省の作況指数の調査は「飯用の全量を全国的に把握する」ことを目的としており、共通の基準に基づいて行う必要があることから、米の粒径のふるい目幅は1.70mmとなっているらしい
これ以下はくず米として生産量に算入しないのだが、現実の農家の米の扱いではこの基準では小さすぎるという現状がある
多くの米取引で基準とされるふるい目は1.8mm以上であることがほとんどであり、全体に小さい米が多い年などでは作況の値と現実の取引量では2割以上差が出る年もあるようだ
さらに乳白や斑点米などの等級が下がる物の割合も考慮されないために、今年は作況指数が現在のところ100であったとしても一般食用の米の需給は引き締まったままだと分析する米問屋も多い
JAでの概算金が昨年より1000円高、米の販売相場も5%高で推移していることからもそのあたりの事情がうかがえる