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ジェネリック農薬 新制度の対象 限定的 既登録品は除外 農水省

   

サンフーロン

グリホサートを成分とするジェネリック農薬でシェア1位のサンフーロン(除草剤)

価格が安いジェネリック(特許切れ)農薬の普及のため、農水省が進める欧米と同様の登録制度の見直しで、対象となる農薬が限定的になる見通しであることが3日、分かった。既に登録されている農薬については新制度の対象にならず、今後登録される新たな農薬も新制度で15年間のデータ保護が条件となる(日本農業新聞)

https://www.agrinews.co.jp/p40072.html


ジェネリック農薬の登録制度見直し問題についての話題

農薬が高価になる原因として数百億円ともいわれる多額の開発費がかかることがあげられる
その開発費がかからないはずのジェネリック農薬は特許の期限が切れ、後続メーカーが製造できるようになっても期待されるような資材費の引き下げにつながっていない状況である

これは現在の日本では先発農薬でもジェネリック農薬でも登録に関する試験費用などが同程度(14億円程度といわれる)かかることが原因の一つとされている

欧米基準の制度を導入すればジェネリック農薬の登録費用は1億円程度と試算されており、生産コストの減少に役立つものとして見直しの方向に向かっていることは以前話題に取り上げた

ジェネリック農薬の登録簡素化へ 17年以降欧米と同様の簡素な手法を認める方針(農トピ)

今回この素案がまとまった形だが既に登録が済んでいる農薬についてはこの方法はさかのぼって適用しないという
これに関してJA全農とジェネリック農薬メーカーなどでつくる「日本ジェネリック農薬協議会」は、対象が限定的となる点を問題視している
既存メーカー側はこれまで開発した農薬が安価に提供されるようになれば新規薬剤の開発意欲がなくなると危惧しており、外資ジェネリックメーカーを含む日本ジェネリック農薬協議会との水面下の綱引きが行われているようだ

昨年までの情報では日本で登録されているジェネリック農薬は67種類という
これを聞くと意外と多いと感じる人が多いだろうが、実際はこの殆どがグリホサートを使ったラウンドアップのジェネリック除草剤であり、
グリホサート以外の成分で見るとマンゼブ(商品:ペンコゼブ)、アセフェート(商品:ジェイエース)、その他1種類の合計4種類しかない
実質は日本ではジェネリック農薬はまだほとんど使われていないと言えるだろう

サンフーロンなどの農耕地で登録を取ったジェネリック除草剤はおよそ半額で買えるので多くの利用者がいる
農耕地での登録が無いものは更に安く1/4程度で販売されている
これはグリホサート系除草剤は海外で製造された原体を希釈して詰め直しただけのようなものなので資材費の大部分が登録試験関係の費用になっていることによる

一方ペンコゼブやジェイエースは2割ほど安いということだが全農が製造、販売しているため既存農薬を安い店から買うより高く付いてしまう場合もあるようだ
このような状況になるのであればジェネリック農薬の種類がたとえ増えたとしても農業者の経営改善に寄与することはあまりない
以前の記事でも書いたがもともと農産物に対する農薬費は約2割と言われている
その資材の半分がジェネリックになり、それぞれ2割安くなったと試算しても1000万円経営でわずか20万円の増収にしかならないのだ

それよりも新旧の農薬を問わず、使用回数が少なくて済んだり効果が安定している農薬や、環境負荷の少ない新規農薬、マイナー作物に対応する試験費用の助成などを行ってほしいというのが実際の農家の希望ではないだろうか


 

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