ドローンで効率よく農薬散布 数時間が10分に
2022/07/21
ドローン2台が連携して飛行し、農薬をまく国内で初めての実験が行われました。
千葉の農場で公開されたドローンは、2台で効率よく農薬をまけるルートを自ら考えて飛行します。また、機体のセンサーが障害物を察知し、自動でよけることもできます。
手作業だと1ヘクタールあたり数時間かかる作業がドローン2台だと約10分でできます。将来は3、4台に増やして効率化を進めたいとしています(テレ朝news)http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000129957.html
ドローン防除の実証実験の話題
国内初の実証実験という見出しの記事もあるが、「2台同時かつ自動操縦での実証実験」が初めてということでいささか紛らわしい見出しかもしれない
日本農業新聞によるyoutube動画はこちら
ドローン2台同時散布 自動飛行向け実証 千葉
機体はAGRAS(アグラス)MG―1を利用(積載10L)、今回は実験ということで散布は水のみのようだ
さて、各方面から将来の農業の切り札のように言われているドローンによる薬剤散布だが、そこに至るまではまだまだ時間がかかりそうだという
まず見出しにある「数時間の防除が10分に」という点についてであるが、そもそも比較している手散布防除で何haもの規模の防除をしている農家はあまりいないだろう
水稲や今回実証の行われたサツマイモなどの畑作では大規模農家はブームスプレーヤーなどの大型機械を持っている
これらの機械ならドローン2台で1ha防除したという速度とそれほど差があるものではない
条件次第だが、ブームスプレーヤーならば1時間に5ha防除することも可能だろう
むしろドローン防除は中規模農家や果樹農家などで利用価値があるのではないかと考えるが、それには薬剤規制の面で現段階では将来的な発展は難しそうに思われる
ドローン防除の場合積載量の関係から濃度の高い薬剤を少量散布することになるのだが、古くからヘリ防除の行われていた作物と違って果樹などでは空中散布に適用できる薬剤はごくわずかである
これによると果樹で唯一登録のあるみかんやかんきつ類でもジマンダイセン、アドマイヤーフロアブル、トップジンM、ベルクートぐらいしか使用できる農薬は無い
ぶどうやリンゴなどそのほかの作物以外では登録のある農薬すらないのが現状である(今回実証試験を行ったサツマイモでも登録のある農薬は無いようだが…)
稲を見てみると80種類以上の農薬に登録が取れているが、この中には他の作物でも普通に使用される農薬も多い
ドローン自体の実証試験を進めるのと並行して、農薬メーカーの無人航空機散布に対応した試験と登録を推進していくことがドローン防除の普及への必須の課題である