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シカ捕獲用わな入札で収賄か 北海道・紋別市職員逮捕へ

   

300万円の入札により設置された罠で一頭も捕獲されなかったとのこと

300万円の入札により設置された罠でエゾシカは一頭も捕獲されていなかったとのこと

北海道・紋別市などでつくる鳥獣被害防止対策協議会が発注したエゾシカ捕獲用わなの指名競争入札を巡り、同市の男性職員(47)が落札業者に便宜を図った見返りに、業者から数十万円を受け取った疑いが強まり、道警捜査2課と紋別署などが加重収賄容疑で、男性職員の事情聴取を始めたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。容疑が固まり次第、同日午後にも逮捕する方針(北海道新聞 yahooニュース)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170512-00010003-doshin-soci


 

北海道の紋別市の職員が収賄容疑で逮捕されたという話題
流れとしては入札があったように装い300万円でエゾシカ囲いワナの設置を発注、業者は設置場所の選定のための調査も行わず罠を設置したのみで、実際に効果を発揮するための電気柵への通電やその後の管理も全く行っていなかったらしい
当然一頭も捕獲されることもなく市職員には100万円の賄賂が渡っていたとのことである
罠自体の実費が大きく見積もって100万円として、市職員への賄賂が100万円、贈賄側の業者の取り分が100万円といったところだろうか

今回は2014年の入札についての事件なので贈賄側は時効が成立している
贈収賄事件の時効は賄賂を渡した側は時効3年、受け取った10年(今回のような加重収賄の場合、簡単な賄賂では通常5年)と異なっているため業者側は容疑を認め、市職員は否認している状況のようだ
そのあたり事情が詳しい人間のリークがあったことは想像に難くないがこの話はこれでは終わらず、さらに別の不正も明らかになってきている

シカ駆除水増し申請か 収賄容疑の紋別市職員、補助金200万円受給

こちらはこの職員が2015年度に年間160頭のエゾシカを駆除し、その補助金として200万円を受給していたという事件内容のようだ
毎日猟に出ている猟師でも120頭がいいところという北海道猟友会のコメントがあり、市役所勤務の人間が駆除できる数でないことは明らかだろう
さすがにこちらは一年で制度が変わり、証拠物の耳と尻尾が再利用できないような不正の起きにくい仕組みが導入されたため翌年の申請数は40頭まで減ったということである
年間40でも多すぎるので登録外の猟師からの持ち込みや地域外で駆除されたシカなどを利用している可能性は高いだろう

問題はこのような事件が全国で蔓延しているということである
鳥獣駆除、水増し受給? 霧島市で写真など偽装、報償費300件超(西日本新聞)
こちらは鹿児島の件だが、実際に駆除したイノシシは一頭でもそれを複数の角度や場所で撮影し、複数頭駆除したように偽装していたという内容だ
少なくとも3年で300件の不正が疑われるということであるから不正受給額は300万円を大きく超える額となるだろう

イノシシ駆除には1頭1万2千円(うち国の補助金8千円)の報奨金が支払われることになっている
正当に駆除している猟師がほとんどだとは思いたいが兵庫県などでも不正受給が発覚し返還した例が明らかになっているし、福島県などでも捕獲したイノシシを檻のまま移動させて複数の場所で捕獲したと報告するなどの行為が平然と行われているという話もある

鳥獣害に関しては専門的な知識を持つ人間が猟友会関係者など以外では極端に少なく、これまで不正の温床となっていたと指摘されることもある
また侵入柵や罠の設置などにしてもその効果を適切に評価することが難しく、積み上げられた対策費が適切に使用されているかということへの関心は少ない
全国でも鳥獣害対策の事業計画のずさんな実態が問題視されつつあるようだ

厳しすぎる仕組みにすれば猟師の負担が増え、駆除の意欲がそがれるという批判も最もだが、このような不正がなくならない限りは鳥獣被害とその対策そのものへの支持が失われることになりかねない


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